米国株式市場:S&P500の連騰が7日で停止、ハイテク株主導のナスダックは続伸
2026年4月10日の米株式市場は、主要指数で明暗が分かれる展開となった。S&P 500は約0.1%下落し、7営業日続いた上昇トレンドが途切れた。一方で、ナスダック総合指数は約0.4%上昇し、主要3指数の中で唯一プラス圏で引けた。週間ベースではナスダック100が約5%上昇し、昨年11月以来の最高の週間パフォーマンスを記録している。市場全体では、3月の消費者物価指数(CPI)の急加速を受けた金利上昇圧力が重石となったが、AIインフラへの旺盛な需要がハイテク株の下値を支えた。なお、ダウ平均株価は指数の構成比率の影響もあり軟調に推移した。
セクター動向:AIインフラへの資金集中とソフトウェア・セクターの二極化
AI市場における「二つの市場」への分断が鮮明となっている。半導体やデータセンター、エネルギーといったAIインフラ関連セクターが堅調な一方、ソフトウェア関連は収益化への懸念やAIによる既存ビジネスの破壊(ディスラプション)リスクから売られる展開となった。TSMCが第1四半期売上高で前年比35%増を記録するなどハードウェア側の需要は極めて強い。一方で、生活必需品、ヘルスケア、金融セクターは低迷した。特にプライベート・クレジット市場では、ソフトウェア分野でのデフォルト(債務不履行)リスクの高まりが懸念されており、投資家による解約請求の急増も報告されている。
注目銘柄・資産:CoreWeaveが提携発表で急騰、重要鉱物サプライチェーンへの関心
上昇銘柄 AIインフラ提供のCoreWeaveは、Anthropicとの複数年にわたるデータセンター利用契約を発表し、株価は12〜13%上昇した。また、インドのサン・ファーマシューティカルによる買収検討が報じられたOrganonは28%急騰し、過去最高の上昇率を記録。身売りを検討中とされるCommvault Systemsも10%以上値を上げた。
下落銘柄 UBSが投資判断を「中立」に引き下げたServiceNowは、AIによる事業リスクが嫌気され8%下落した。また、住宅ローン市場での競争激化が懸念されたFair Isaac (FICO) は一時15%の大幅安となった。Appleは、米国初の労働組合結成店舗の閉鎖を決定し、組合側との対立が表面化している。
商品・商品・暗号資産 原油市場では、イラン情勢を含む中東の地政学リスクにより、1バレル100ドルから150ドルへの上昇シナリオが現実味を帯びている。重要鉱物(レアアース)市場では、中国が精錬・加工工程の約97.6%を支配している現状が改めて問題視され、米国内での産業政策の必要性が議論された。
マクロ・地政学:インフレ加速とFRB議長人事を巡る政治的リスク
3月の消費者物価指数(CPI)は、ガソリン価格の21%急騰を主因に前月比+0.9%(前年比3.3%)と急加速し、2022年以来の大幅な伸びを記録した。これを受けてミシガン大学消費者態度指数は1970年代以来の低水準に落ち込み、消費者のマインド悪化が顕著である。金融政策面では、パウエルFRB議長の任期満了(5月15日)が迫る中、後任人事を巡る政治的介入への懸念が浮上している。地政学では、Anthropicの新AIモデル「Mythos」がもたらすサイバーリスクに対し、ベセント財務長官とパウエル議長がウォール街首脳を緊急招集して協議を行うなど、金融システムへの影響が警戒されている。
今後の注目点:大手銀行決算と中東情勢の行方
- JPモルガン、ゴールドマン・サックス、シティグループなどの大手金融機関による決算発表
- 生産者物価指数(PPI)の発表を通じたインフレの波及状況の確認
- ワシントンで開催されるIMF・世界銀行年次総会での世界経済見通しとスタグフレーション懸念の議論
- 太平洋に着水予定のアルテミスII計画「オリオン」宇宙船の帰還成功と、次段階の月面着陸計画への影響
- イラン情勢を巡る外交交渉の進展と、エネルギー価格への影響(ホルムズ海峡の封鎖リスク)
- 5月15日のパウエル議長任期切れに向けたFRB新議長指名の動向と市場の反応